2015年4月16日木曜日

Ancestor's Ukulele vol.3/6

さて、綺麗に晴れ渡った昼下がり、遂に到着しました。Ancestor's ukuleleの工房です。ホントに来たんですね。夢ではありません。微かに自嘲気味ながら後悔はまるでありません。


スイスから数千数万キロの距離を隔て、ピコピコとメッセージを通信していたのはこの工房だったのです。現実に存在しました。よかったよかった。

写真で穴があくほど眺めていたこの光景ですが、実際は思っていたよりも小さい印象でした。
もう少しだけ広いとよいのだろうなと思いつつも、しかし自宅敷地内に独立した工房があるというのは、個人製作家としては憧れの部類である気がします。

何はともあれ中に通されまして、坂井さんが珈琲を入れにいって中座、とくればついつい機械類やらヤスリや糸鋸などに目がいきます。




さらに塗装スペースと製作途中のウクレレ、机の広さや高さ、工具や材料の収納の仕方、メインの机から見える風景、壁に掛かっている時計まで。

まるで変態のようですが、小さな工房ですし、ちょっとした職業病も絡んで、触らずとも派手に凝視。

製作家として、小さくとも一城の主であることを男としてやや羨ましく思いながら待っていると珈琲が到着しました。

そしておもむろにテナーサイズの愛機をプラグインして、結構な音量でウクレレを弾きだす坂井さんです。

坂井さんは日課として地元のカフェでBGM演奏されていますが、そのプライベートバージョンとでも申しましょうか。


「遠くからお客さんがきているのにいつも通りに過ごしちゃってる」と嘯きながらも、演奏する坂井さんです。

動画で観るよりずっとよし。

やはりライヴにかなうものはなし。

天気は全くの快晴で文句なし。

僕はここの訪問以外に予定なし。

そんな身の上ですから、一瞬も焦る必要はないのです。

いつも通りと言いながら、翌々日から金沢のウクレレイベントに営業と出演を控えている身であった坂井さんです。いつも通り弾いておいた方が良いわけです。

でも実は、このイベントの存在がこの日の僕の訪問のミソでした。イベントの営業に持ち込むためのコンサートサイズのウクレレが3本、この日工房に置かれていたのです。

基本的に坂井さんの完成したウクレレは、店舗や依頼主の元へ旅立ってしまいまとまった数が手許にあることはほとんどないのです。

故に弾き比べつつ、坂井さんの人となりまでもを同時に楽しむまたとないチャンスでしたので、この日に強行軍で岐阜入りしたのでした。

ちなみに現在は大阪は岸和田のショップOhanaさんで、5つのモデル弾き比べ放題の模様です。僕の試奏した3本も全てそちらにあります。

さてさて、ちょいちょいと談笑しながら、そろそろ試奏をしてみようということになり、はじめに弾いてみたのがコレでした。


僕の大好きなウクレレプレーヤー、アピラック氏のシグネチャーモデルです。

マーティンアレンジのクラシックスタイルの外観。

アピラック氏がどうしても譲らなかった12フレットジョイントのネック。

ボディの素材は川だか湖に沈められて長いこと保管されていたというシンカーホンジュラスマホガニー。

ほぼアピラック氏使用モデルと同じものです。彼の文字通りお墨付きもあるはずです。

そして彼が所有するAncestor'sウクレレへの愛情は並々ならぬものがあります。
いくつかのウクレレを所有されているようですが、ほぼこれしか使っていないようです。

そして息なりの大本命を前にした僕は恐る恐る手にとり、懐に抱えて、、、次回へと続きます。

2 件のコメント:

  1. はじめまして。
    こちらの記事にてチラッと出てきております、金沢のイベントを主催した、金沢のウクレレ歌うたい・にっしぃと申します(笑)。
    Ancestor's Ukuleleシリーズ全6話、読ませていただきました。
    僕もアピラックさんの演奏が好きで、ハジさんのウクレレに興味を持って、たくさん相談にも乗ってもらったのですが、モロモロの事情により購入とはいかず・・・泣

    ですので素敵なウクレレをオーダーされて、全くもってうらやましゅうございます。

    僕もいつかはハジさんに最高の1本を・・・!と夢に見ながら、当面は修行に励みます。

    いつか金沢にも遊びに来てください。
    そして素晴らしいマホガニーサウンドを聞きたいです。

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    1. にっしぃさん

      コメントありがとうございます!
      にっしぃさんのツイートを見たことがあるような気がしています。

      坂井さんのレポートにもありましたが、とても素敵なウクレレ文化が金沢にあると聞いてます。その一翼を担ってらっしゃるんですね。

      金沢はずっと行ってみたいと思っている場所ですし、スイス時代にお世話になった人が金沢出身で、毎年8月に一時帰国しているので絶対来るように、と強く言われてます。

      いずれ行くつもりでおります。それまでに屁の突っ張りにもならん演奏を、屁の突っ張り程度にはしたいと思っております!

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