先週金曜の早朝のこと。
僕はソファの上で丸くなって目覚めた。
ふと気づくと背中から肩に掛けて、太めの紐が身体の周りをぐるっと一周している。
その紐を辿ると、胸とお腹のあたりにウクレレに繋がっており、僕はそのほのかに暖かみのある木工製品を抱えていた。
そう、ほぼ布団代わりに。
弾きながら、寝たらしい・・・。
でも。
「安心してください。ちゃんとはいてますよ!」
じゃなかった。
安心してください。ソリッドタイプのエレキウクレレですよ!
どんなに愛おしく抱きしめても、まず壊れることはないのだ。
既に肌寒いを通り越している北関東の朝方。
ウクレレとの接地面積をできるだけ増やすべく、『頭隠さず尻隠さず』の絶望的なチャレンジをしながら僕は目覚めたのだった。
武田久美子ほどのストイックさはないものの。
その前日の夜。
僕はブルームーンカルテットのライヴに行った。大体2ヶ月に一度のお楽しみだ。
相変わらず幸せだった。
音楽は素晴らしいと思って聴くより、奮えるようなものだ。スウィングするようなものだ。
幸せな気分は、美味しいブルームーンカルテットを食べている感じだ。ただし彼らは容易に食えない人たちだと思うが。
仕事のあと、ゆっくりお酒を飲んで、楽しい演奏を聴いてリラックス。
下戸の方には泣いて詫びたいところの極楽浄土で、しかし快楽をむさぼった罰として、終わりには楽しいながらも少し寂しい気持ちになる。
僕はウクレレを弾きながら、いや、ほとんどは仕事をしながら、次のライヴを待つのだ。
さて、今回もステージの合間に富永さんに捕まえてもらった。嬉しいことだ。
つかの間のお喋り。
富永さんが直近で行っていた金沢のウクレレ事情を聞いて、素朴な疑問、「あのログハウスは誰が出資・運営しているんですか?」とかやや無茶な質問をしてみたり。
ついでに自分の近況も勝手にご報告。
「実は今週末茨城の方で初めてステージの上で演奏するんです。」だとか、「ウクレレにピックアップ付けて、アンプとシールドを買ったんです。」だとか。
楽しい。
すると、富永さんはちょうどアンプに接続して演奏する人向けに、サウンドメイキングを教えるワークショップをポエポエさんで立ち上げたとのこと。
来月頭にやる、と。
What a difference a day made!
もはや何かの物語のように都合の良いタイミングでやってきた話。誰かが見てたとしか思えない。
ただでさえ、ウクレレには腰の軽い僕はその場で申し込んでみた。
金曜夜の祐天寺、行けるのか!
なんとかする!
ウクレレのピックアップ工事まだあがってきてないぞ!間に合うのか!
なんとかなる!
酒の力は万能である。
そして縁と感じるものは何物も逃したくない僕なのだった。
さて、そういうことで先日の日曜日のことです。
スイスより続く縁を辿ってやってきたのが、今週末茨城県は取手の島村楽器で行われたUkulele To-rideというライヴイベントでした。
ここで僕は初めてステージの上で、一発勝負の演奏を一曲だけ弾きました。
曲は僕がスイス時代からずっと毎日弾いているカントリーロード。くしくも富永さん編曲のソロです。アレンジは何も加えていません。
折角なので最後にドヤ顔で終わりたかったけれども、残念ながらそこまででもない演奏でございました。
すごい失敗ではないけれど、間違っても大成功ではない感じ。
正直、悔しい。
今でも超悔しい。
でも、だからやって良かったと思うのです。
僕はやっぱりどこまでも体育会系なウクレレ弾きなので、こういう経験が必要で、改めて練習にも身が入ります。なにが足りないのか考えます。
ラグビー日本代表の五郎丸のように、平常心を保つため本番前のルーティーンを取り入れたらどうだとか。
まるで脳筋。爽やかでない。
でも、ウクレレが大好きなのは皆様と同じなので、ご容赦いただければと思います。
今回、唯一良かったのは、演奏中に見た目楽しげに弾けたこと。
そして、帰りしなの島村楽器店内で他の演奏者の方が、僕の弾いた曲がおさめられている『JAZZアレンジでたのしむソロ・ウクレレ映画音楽集』を手に取り。
「スイスの人が・・・」
と、何やら話しているのがたまたま聞こえて、背後からニコニコしながら近づこうとしたけれども、おのれのあまりの気持ち悪さに慌てて控え室にとって返したこと。
ま、とりあえず、ゼロではなかったな、と。
いずれにしても、人前で弾く難しさと楽しさ、そして覚悟を得たイベントでございました。声をかけて頂いたねこレレさんに感謝。
そしてちょっと軽薄かもしれないけれども、今後も小さな実戦も交えつつ上手になっていきたいと思います。
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お、ウクレレの工事完了の電話が!
フフフ。楽しいなぁ。