2014年10月21日火曜日

一度だけガスを抜く。このあとはいつも通り。

2ヶ月半前に、僕の親友は亡くなりました。

病気でもなく、事故でもなく、もちろん自ら命を断つわけでもなく、ただ突然に。


泣きました。


ただひたすら涙が溢れ続けました。
いい大人なのに、止めることができませんでした。

そのくせ日本との距離感のせいか、リアリティがありません。
そして日本との距離のお陰で最後のお別れを言うこともできませんでした。

彼は僕と同じ歳でした。
あと半年で日本へと帰る僕は、当然のように彼とその家族と一緒に老いていくつもりでした。

お互いまぎれもないおっさんになり、「来月娘が結婚することになったんだよ。」「そうか。まぁ、呑みなよ。」と。
そういう未来が待っていると信じて疑っていませんでした。



でも、そうはなりませんでした。



泣きました。



涙が止まった後も、ずっと泣いていました。
仕事しながら、日常をこなしながら、山を登りながら、阿呆なことをしながら、心の何処かで泣いていました。



帰宅してからウクレレを弾けば、どの曲もレクイエムに聴こえました。

本当は心をもっと閉ざしたかったのです。でも、それをするには、僕は分別を身につけ過ぎていました。

泣きながらも僕は気づいていました。
僕が失ったもの、そして、まだこの手にあるもの、どちらも同じように大切だということ。

だから閉じることはできませんでした。
ただ、この歳でやっと理解しました。大切な人を突然失った人の悲しみを。心から。




今、僕は泣くのをやめました。


その代わりずっと忘れないと決めました。
発作のように突然襲ってくる深い悲しみが、長いときをかけて薄れていっても。
髪が真っ白になって頬に深いシワが刻まれても。
ずっと覚えている、ただそれだけを決めました。


あれからずっと、毎朝起きると「僕はまだ生きている。」と思います。

そして僕の中で何かが変わったような気がします。たわいないいつもの風景に深みが加わりました。


結局、残された僕にできること。

誰かの分を生きることはできないけれど。

少なくとも今、僕の手にあるものの大多数を笑顔にすること。

強く生きることはできないかもしれないけれど。

荒れ狂う波の中に放り込まれて、船酔いで嘔吐し、疲労でボロボロになっても、僕の乗った船の舵を決して放棄しないこと。


生きます。無様に。


よし。

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